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writer:グイン・グリフォさん
category : ZOIDS小説

夏の熱い夜、11時。バン一行は古家に肝試しに行った。
「じゃあ、チームをくじで決めるわよ!バンから引いて!」
とムンベイ。
「あ?何で?」
継いでアーバインが言う。
「何か企んでるんじゃねぇだろうな。」
ムンベイは怒り気味で言う。
「うっさいわねぇ、企む様な事無いでしょ!じゃあジャンケンで決めるよ!そうしてジャンケン後、クジをひいた結果、アーバイン&フィーネ、バン&ムンベイに決まった。
「じゃあ、俺達先に脅かし役やるぞっ!行くぞ、ジーク・・・」
間髪を入れず」
「な、なんだよアーバイン・・・」
「それじゃ不公平だろ?おいて行けよ!」
「(アーバインって恐がりなのか・・・)
「仕方無ェなぁ、がんばれよジーク!」
ジークは何をがんばればいいのかわかっていないようだ。
「アーバインチームが先だからね!あたしらは隠れてるよ!」
とムンベイ。
「わかったわかった・・・」
心なしか声が震えている。

             古家 一階

床がギシギシ言い、いかにも出そうな所だ。ルールは二階にある紙に印を書けばいいだけだ。それだけの事がアーバインにとってどんなに大変な事か。お察しの通り、実は恐がりなのだ。
「(くそー・・なんとかしてジークを持ってこなきゃマズイぞ・・・バンならともかくフィーネの後ろにいるのはまじでマズイからな・・・そうだ!)」
「フィーネ・・・ちょっと・・・」
「何?」
「お前さ・・・じじジーク呼べるだろ・・・?」
「うん。」
「ちょっと呼んでみてくれないかなぁ・・・?」
「・・・」
数秒後、ジークが来た。バンとムンベイは気づいていないようだ。    
「やややあジーク、ちょちょちょっと前に出てすす進んでくれくれないかなああああ。」
「アーバインもしかして・・・」
「(やばい!気づかれる!話題を・・・)」
アーバインは焦ってきた。もとより焦っていたが。
「すすすげえなあー、どどどうやってよよ呼んだんだぁ?」
「あ・・・」


ドキッ!!!

「なな何か・・・?」
「首・・・」
アーバインが叫んだのは言うまでも無い。
一方バンは二階の押入に隠れていた。
「(お、始まってるな・・・やっぱ恐がりだったのか、アーバインって。俺は何もしてないから、多分ムンベイがやったんだろうな。)」
これがムンベイでは無かったのも言うまでも無いだろう。
一方ムンベイは天井裏に隠れていた。
「(バンなかなかうまいわねぇ、あたしも負けないわよ・・・って・・・ジークじゃない!アーバイン、フィーネに呼ばせたわねェ?!)」
ムンベイが出ていって注意しに行こうとしたその時ッ!!ムンベイは何かに片を叩かれる感触がした。
「何よバン・・・!!!!!!!」

再び絶叫がこだまする。

ムンベイ、リタイア。(気絶)

アーバインはすでに失神寸前だ。
「(それに重ねてなんだいまのは?!ムンベイの声だろ?!・・・まさか物本(本物)・・・)」
「キュイッ!!」
「ふふふ・・・俺に見せるなぁぁぁぁぁ!!!!」
「あら、手・・・誰のかしら・・・」
相変わらずとろいフィーネ。
「バンだろ・・・そそその手はくわんぞ・・・」
もうくっているのに気がつかないアーバイン。
「でもやけに小さいけど・・・」
「ささ錯覚だ!虚像だ!」
「?ほらアーバイン、錯覚じゃないでしょ?」
半分目をつぶって後ろを向いていたアーバインがようやくその手を見た。 

再び絶叫。だんだんバンも恐くなってきた。

「(またムンベイか。早くあがって来いよ・・・ん?なんか手が濡れてるような・・・気が・・・)」
バンの手は血塗れだった。バンは叫びたくなったがぐっとこらえた・・・と言うより声にならない。
「(なんだこれは俺にどうしろと言うんだ俺が何をしたこここの野郎消えろ消えろ失せろ失せろどうせムンベイのいたずらに決まって・・・)」
バンはそう思うと同時に後ろを見た。恐る恐る。今度は生首ではなく首から上の無い人間だった。

バンは叫ばなかった。
叫ばないが・・・
気絶した
どうやらグロテスクが苦手だったようだ・・・
アーバイン一行は二階にやっと到着した。これほどまでに時間がかかったのは全てアーバインのせいだった。
「印っと・・・あとは急いで・・・」
「ねえアーバイン・・・」
アーバインは恐がりだという事がバレてはまずい事を完全に忘れていた。
「また何か変な物か・・・?」
「あのねぇ、押入からケチャップがこぼれてる・・・」
「本当にケチャップなんだろうな・・・(落ち着け!落ち着いて見るんだ、アーバイン!)」

ゴクッ・・・

「キュイ!キュイ!!」
がらがらがら・・・押入を開けるとバンが気絶している。血塗れで。
「なっ!!!くくく・・・そうやって脅かそうとしても無駄だぞ・・・」
「あら、あなた誰?」
「フィ~ネ~・・・どうしてそうへんなものばっか見つけるんだ・・・?」
「顔が無いからわからないわ。でもムンベイじゃないみたい。」
「ほほほほ本本本本本物ォォォォォ!!!!!!!!!!」

ぎゃああああああ・・・・

あんたの悲鳴が一番恐い。
大体何だね、大の男が恥ずかしい。
と、ここで作者が言ってもしょうがない。作者はこういうことを言えたタチではないからだ。
つまり恐がりなのです。
ところで最後まで気絶しなかったフィーネは・・・
「あら、ムンベイ。天井が破れて落ちたのかしら。」
トン、と片を叩かれたフィーネ。
「なあに?あら、誰もいないわ。」
ジーク、リタイア。どうやらこのパターンが一番恐いらしい。
フィーネは三人と一匹を外に出すのに苦労した。一人では無理だっただろう。
じゃあどうしたかって?
首の無い人に手伝ってもらったわけです。