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writer:九竜甲斐さん
category : ZOIDS小説

ニコル・・・・どうしてキミは僕の邪魔をするんだい?
あと少しでバンを殺せたのに・・・・
キミを・・・・これで二回殺した事になるじゃないか・・・・僕が古代ゾイド人でなければキミは死なずにすんだのに・・・・古代ゾイド人でなければ・・・・

--ガバッ
まるで悪夢でも見たかのように大量の汗をかき荒い呼吸をする少年、リーゼ。岩の上で横になったまま寝てしまったのだろう辺りは暗く人の気配もしない。
「?」
立とうとしたリーゼはある事に気がついた。
毛布がかけられてある......スペキュラーかと思ったがそれはない。あいつはヒルツに預けているのだ。
すると、
「目は覚めたか....」
暗闇の向こうから声がする。
「誰だ!」
リーゼはしまっていたナイフを取り出す。闇の中から一人の少年が姿を現わす。
「レイヴンか・・・・」
そう言うとリーゼはナイフをしまう。
「・・・毛布・・・・・お前がかけてくれたのか?」
「・・・・・・・まぁな」
レイヴンはリーゼの前に立つ。
「バンを殺し損ねたようだな・・・・」
「僕を嘲笑いに来たの」
敗者を嘲笑う趣味のないレイヴンは首を振った。
「そんなつもりはない」
「じゃぁなにしに来たのさ!」
この言葉が侮辱したかのように感じたのか、リーゼの声には怒りが混じっていた。
「白いヘルキャットか・・・・・」
その言葉でニコルの事を思い出したリーゼは下を向くと、
「もう・・・・どこかに・・・行ってくれよ!」
少し掠れた声で発言をする。その頬には涙が流れていた。
「お前も俺と同類だな・・・・」
「何が・・・・?」
「・・・大事なものを失った事でだ」
レイヴンはリーゼの横に座る。
「えっ・・・・!?」
リーゼは、その言葉に横を向く。
その瞬間、レイヴンはリーゼの顎を持ちその蒼の瞳から流れ出ている涙を舐めとる。リーゼはレイヴンの手を払った。
「なっ!何するんだよ!!」
「そういうお前こそ何泣いてんだよ・・・・・」
「あっ・・・・」
リーゼは自分が泣いている事に気がついた。
そして、また下を向いて泣き出すリーゼにレイヴンは舌打ちをして下に落ちていた毛布をリーゼに投げた。
「俺はもう行くぜ」
そう言い残しレイヴンはその場を立ち去った。
リーゼはレイヴンの投げた毛布をかぶりまた眠りについた。今度は悪夢ではない夢を見ながら・・・・・
その頃、レイヴンは・・・・
「莫迦莫迦しい事をしたな・・・・そうだろシャドー」
「グルルルルルル・・・・」
自分がした事を少し後悔しながら漆黒の空の中ではひときわ目立つ赤いボディの魔装竜「ジェノブレイカー」に乗り空を飛んでいた。
                              END