writer:もなもなさん
category : ZOIDS小説
夜になると、気温がぐっと下がり、寒さが肌を刺した。
「さみっ…」
近くの茂みの中で用を足してきたアーバインは、足早に自分の寝床へと急いだ。時刻はもう真夜中。辺りは、しん…と寝静まって、静けさがアーバインの耳に響く。
アーバインの寝床は、みんなが火を取り囲んで作っている寝床から少し離れたところにあった。別に大した理由はないが、野宿するときは、アーバインはいつも離れたところに寝床を作る。なりゆきで4人と1匹で旅をすることになったが、まだなれ合う気にはなれないのかもしれない。
寝床にたどり着くと、アーバインは素早く毛布に潜り込んだ。
「!?」
と、毛布の中で温かい感触が、触れる。
びっくりして毛布をめくると、そこにはいきなり毛布をはがされて起こされたフィーネが、眠そうな目をこすっていた。
「なっ! おい、どうしてこんなところにいるんだぁ!?」
思わず、アーバインは声をあげる。
「……寒いから…」
アーバインの問いに、フィーネは簡潔に答えた。
「寒いからって、わざわざ俺の所に来なくてもいいだろうが」
思わずアーバインの声がうわずる。
「…バンはジークと寝ててもう寝るところがないし、ムンベイは寝相が悪いの」
「………そうかい……」
アーバインは、妙に納得してしまった。
「……いちゃ、駄目…?」
フィーネはアーバインの目をまっすぐに見つめる。
「………好きにしろ……」
どうやら、アーバインはフィーネに先手をとられたようだ。この肌寒い中、自分の寝床へ戻れというのも酷なような気がするし、なにより、フィーネに純粋に見つめられては反対も出来なかった。
「うん」
フィーネは嬉しそうに答えると、アーバインに身体を密着させた。
「お、おい!」
アーバインが焦る。
「だって、くっついた方が、暖かいよ?」
そう言ってフィーネは、アーバインに抱きついた。
「………………」
アーバインの身体に、フィーネのはかなげな身体の感触が広がる。心なしか、押しつけられている胸の部分は、柔らかく感じられる。
そうか、もう、胸は発達しているのか。等と考えていたら、身体の方が、反応してきてしまった。
「!!」
下半身に血が集まってくるのがわかる。
違う! 俺はロリコンじゃねぇ!! そう自分に言い聞かせて、何とか気持ちを落ち着かせようとするが、押しつけられるフィーネの身体の感触の方が、勝った。
アーバインの下半身が、むくむくと成長する。
「?」
突然現れた固い感触に、フィーネは首を傾げた。そして、興味本位に触ってみる。
「! ちょ…、フィーネ!!」
アーバインは焦った。しかし、フィーネは何のことだかわからない。今度は、形を確かめるように、思いっきり握ってみる。
「!!」
フィーネのぬくもりと、与えられる刺激とで、アーバインは翻弄された。
「ねぇ、アーバイン。これ、何?」
フィーネは無邪気にきいてくるが、アーバインはそれどころではない。
「何でもないから、さっさと寝てくれ!!」
思わず叫ぶ。
「?」
訳の分からないまま、フィーネはアーバインの言葉通り、触るのをやめ、寝ようと体勢を変えた。
「!」
それがまた、アーバインへの刺激になる。しかも、目の前には、フィーネの白いうなじがアーバインを誘っている。
ある意味、地獄のようだった。例えるならば、目の前ににんじんをぶら下げられた馬。しかし、そのにんじんはきっと食べられないのだろうと、アーバインは考える。
押さえきれない興奮の中、アーバインは早く夜が明けるのだけを祈った。
「おはよう!!」
朝のさわやかな光が、アーバインの寝不足の目を刺す。ムンベイのさわやかな声が、無性にいらだたしく感じられる。
「おう…」
アーバインは力なさげに答えた。
「よく眠れた?」
「うん!!」
ムンベイの問いに、フィーネが嬉しそうに答える。
「おう…」
アーバインは力なさげに答えるだけだ。
「ちょっと、アーバイン! そのクマ凄いよ?」
アーバインの顔をのぞき込みながら、ムンベイが顔をしかめる。
結局、あの後アーバインは一睡も出来なかった。
「てめぇが、寝相が悪いのがいけねぇんだ!!」
「?」
思わずアーバインが愚痴るが、ムンベイにはさっぱり何のことだかわかるはずもない。
「ねぇ、アーバイン。今夜も一緒に寝ていい?」
「!」
「!!」
「な…!?」
無邪気に尋ねるフィーネに、アーバインを始め、その場が固まった。
「ちょっと! アーバイン! それってどういうことよ!?」
フィーネの事になると本当の姉のようになるムンベイが、アーバインに詰め寄る。
「どうもこうもねぇ!!」
アーバインには叫ぶことしかできなかった。その横で、事態を把握していないフィーネは、今晩もアーバインと寝ようと心に決める。
果たして、アーバインが心穏やかに寝れる夜は、いつ訪れるのだろうか…?